エンジニアが副業で手を出してはいけない3つのNGパターンとは

数ある副業の中でもアプリ開発やWebサイトの運営など、ITエンジニア向けの仕事には高単価の案件が多いものです。

高度なITスキルを持つエンジニアほど好条件の副業で収入を大きく増やせる可能性は高くなりますが、中には手を出してはいけない種類の副業もあります。

会社の利益に反する副業に手を染めてしまったばかりに、減給や出勤停止・懲戒解雇などの重い処分を受けてしまったエンジニアの例も見られるからです。

エンジニア向けの副業は高単価案件の宝庫

システム開発やアプリ開発・ゲーム開発といったエンジニアの副業に向いた開発案件は、クラウドソーシングやフリーランスエージェントで多く募集されています。それらの案件は時給換算で平均4,000円以上とも言われるほど単価が高く、1時間で1万円以上を稼げるような高額案件も珍しくありません。それだけITエンジニアの持つスキルはフリーランス市場で高く評価され、副業の分野でも売り手市場の様相を呈している証拠です。

IT企業ではプロジェクト単位で事業を進める例が大半で、繁忙期になると正社員だけでは人員が不足しがちになります。人員に余裕がない企業はフリーランスエンジニアなど社外の人材にも手を広げ、社員では賄いきれない仕事を外注しようとする傾向が見られます。

その一方では働き方改革の影響で残業時間が減らされ給料がダウンしてしまったエンジニアや、能力のわりに給料が安い点に不満を抱いている若手エンジニアも少なくありません。他社がクラウドソーシングやエージェントを通じて募集している高単価案件を個人で受注できれば、そうしたエンジニアでも効率的に収入を増やせるようになるのです。

本業の取引先から仕事を請けるのはNG

このようにエンジニアは引く手あまたの状況だけに副業でも高収入を稼ぎやすい状況ですが、仕事の受注方法によっては所属する会社とトラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。エンジニアの中にはパソコンと向き合うような仕事は得意でも、接点のない会社に営業をかけたり価格交渉したりして仕事を獲得するのが苦手な人も少なくありません。

そんな人でも本業で付き合いがある取引先の会社から個人として開発や設計などの仕事を請け負えば、仕事探しの手間が省ける上に自分の会社を通さないので単価の上でも有利になってきます。取引先の会社としても普段から付き合いがあって実力や人柄も熟知しているエンジニアが相手なら、安心して仕事を依頼できるというメリットがあります。

一見するとウインウインの関係にも思えるこうした仕事の受注方法はエンジニアの所属する会社の利益に反することになるため、発覚すれば口頭で注意されるだけでは済みません。最悪の場合は職を失う
リスクもありますので、本業の取引先から個人で仕事を受注するのは絶対にNGの行為とされているのです。クラウドソーシングやエージェントを通して仕事を受注する場合でも同様に、会社の利益相反に該当しないかどうか吟味の上で案件を厳選する必要があります。

情報漏洩につながる副業もNG

会社の利益相反につながる副業のトラブルはエンジニア以外の職種でも起こり得ますが、プログラムや設計書など会社の重要な機密情報を多く扱うエンジニアの場合は挽回不能のトラブルに発展しやすいのが特徴です。顧客情報や商品仕様・研究開発データに関する情報なども機密データに該当するため、それらを扱う副業には同様のリスクがあります。

一方でクラウドソーシングやエージェントを介してエンジニア向けの仕事を個人で受注する場合は、競合他社や関連業界に属する企業がクライアントになるような事例も珍しくありません。好条件に釣られてそういった案件をうっかり受注してしまった場合にも、結果的に情報漏洩から会社に損害を与える可能性が出てくるので要注意です。

エンジニアが副業を行う際には、あくまでも自分の持つプログラミング等のスキルのみを強みに案件獲得を目指す意識が求められます。本業の仕事で開発したプログラムや設計データなどの成果物は、たとえ自分が開発を担当したとしても会社が保有権利を持つ無形の資産なのです。会社に損害を与えずに収入を増やすには、本業の業務とはまったく独立した観点でエンジニアとしてのスキルを生かせるような案件を見分ける目も求められます。

本業の仕事と競合する可能性がある副業はグレーゾーン

エンジニアとしてのスキルを生かせる副業のジャンルはある程度限定されるだけに、どれだけ注意して仕事を選び抜いたとしても会社に何らかの不利益を与える可能性は残ってしまいます。エンジニアが副業で手がけた仕事が本業の仕事と何らかの形で競合し、会社の収益が減ってしまうようなケースも考えられるのです。

本業で付き合いのある取引先から直接受注したわけではなく、会社の機密データには一切タッチしないような案件でも油断はなりません。エンジニアが自分の得意分野を生かせる案件を個人で受注すれば、会社との競合を完全に防ぐのは難しいのが現状です。

 

とは言え会社に間接的影響を与える可能性が少しでも考えられる案件の受注まで全面的に禁止したのでは、エンジニアの副業選択肢が大幅に縮小されてしまいます。社員の副業を条件付きで解禁しているIT企業では、本業と競合しない範囲と判断された副業に限って許可を与えているような例も少なくありません。エンジニアが仕事で培ったスキルを生かせる副業を個人で受注する際には、一種のグレーゾーンに足を踏み入れるという意識と覚悟を持つことが大切なのです。

エンジニアが副業するなら会社への報告と相談が不可欠

どの程度までの副業なら会社と競合せず情報漏洩等のリスクもないのかという点は、エンジニア個人だけでは判断が難しい面もあります。したがってエンジニアが副業を行う際には会社に逐一報告し、問題ないというお墨付きをもらった上で仕事を正式に受注するのが理想です。

そうは言ってもクラウドソーシングやエージェントで募集されている案件を検討する際には、1件ごとにいちいち報告するのも手間がかかります。副業を始めると決めた時点で事前に会社への相談を行い、どの程度の範囲なら副業が許可されるのかという点についてしっかり確認しておくことも大切です。そうやって会社側とのコミュニケーションに努めていれば、エンジニアの副業に伴うトラブルも未然に防ぐことができます。

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副業スタディ

記事監修

監修:畑山 朋之(行政書士)

畑山朋之行政書士事務所代表。家系図作成の「家系図物語」代表行政書士。士業向けの副業コンサルタントとして弁護士、税理士、司法書士等へ副業のコンサルティングを行う。